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2006年12月24日 (日)

救助

「ジョギングするなら夜だ」。高校時代、体育教師が言っていた。何故か、 ― 遠くの景色が見えず、足元の地面の流れが速く感じる。気分的に良く、持続できる。 ― だそうだ。今夜山岳救助があり、現場に向かう中ふと、そんな事を思い出していた。

午後6時過ぎに連絡が入る。場所は西穂山荘とロープウェイの間、遭難者はどうやら心肺停止状態らしい。夕飯をとりあえずかっ込んで、装備の準備に取り掛かる。と言っても短期決戦になると予想し、極力軽装にする。靴もスパイク付きの長靴。スパイク付きと言ってもほとんど磨り減っていて当てにならないが、危険箇所は特に無いし、アイゼンを履いていては返って危険な場合も多い。7時少し前に中間駅に到着。警備隊と救助隊が数名集まっていた。緊急でロープウェイを稼動してもらう。天候は雪がちらつき、真っ暗闇の中へとゴンドラが滑り出していく。中尾と蒲田の夜景が綺麗に見えた。結局ザックは山頂駅に下ろし、警備隊1名救助隊4名で現場に向かう。

いくら暖冬だと言っても、標高の高い山はあたり一面雪に覆われている。救助に向かうルートは登山者が多く、しっかり踏み固められている。どれくらいの積雪があるかは定かではなかったが、実は出発する時既に尿意を感じていて、合流した際にちょいと失礼をし、用を足したのだが、その時にどれだけの雪が積もっているか思い知らされる事になる。

雪というものは音を吸収する。歩いていても、自分達の息遣いや踏みしめる音しか聞こえてこない。天気がよければ夜間でも山の形が認識できるのだが、まったくの暗闇。少しずつ降雪量も増えてきているようだった。よく歩き慣れている道でも、見慣れた看板が見えた時は、“あれ、まだこんなとこかー”と言った具合。思ったほど進んでない事がよく分かる。他の隊員もそんな錯覚を覚えたようだった。この時に冒頭で書いた事を思ったのだ。

急登攀の手前で、遭難者を搬送中の先発隊と合流。救助用のソリに固定する。後はただひたすら引っ張る・・・。登りの急な所で悪戦苦闘中、遭難者がソリから外れ一時頓挫する。その間に後発隊が駆けつけてくれて、搬送を助けてもらう。人数は多い方がいい。山頂駅に着く頃は風も出て、吹雪模様になってきていた。ゴンドラの中で、また救急隊が到着するまで交代しながら心肺蘇生を続けた。

ちなみに積雪量は、軽く腰のあたりまで。

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